尾行の失敗はすなわち、探偵失格!

尾行の失敗は、なかなか表面にあらわれないものです。むろん、相手を見失った、あるいは尾行に気づかれた、というのは完全な失敗です。では、相手を見失わずに最後まで見届け、写真撮影などの証拠もしっかりおさえたら、それで尾行に成功したといえるでしょうか。

それは、探偵の仕事としては成功でも、尾行そのものは成功したとは言い難いのです。尾行術に則せば、失敗と同じです。問題は結果ではなく、その過程なのです。

たとえば、空いている電車内で尾行中の探偵が、少しでも相手から目を離したら、その時点で尾行は失敗、と言うことです。相手はたまたま同じ電車に乗り続けただけかもしれず、目を離した隙に降車した可能性は皆無とはいえないからです。

あるいは、ふとした拍子に、電車内で相手の真正面に出てしまったが、たまたま相手は眠っていたというケース。これなども、単に運がよかっただけなのです。そんなふうに運に頼った調査を続けていたら、いつか、相手を完全に見失う、その場で気づかれる、という大失敗を犯すはずです。

案外、そのあたりを履き違えた未熟な探偵は多いのです。場当たり的な、運だけに頼った営業も経営も長続きしないのと同じように、本来、運にまかせた調査などあってはいけないのです。

確かに、幸運も重要な要素ですが、大切なのは「必勝は平素の練磨から」という志です。極論すれば、尾行の失敗はすなわち、探偵としての失格を意味します。尾行の失敗は、他の探偵術の失敗よりも致命的なのです。